サーチュイン遺伝子について
サーチュイン遺伝子とは
サーチュイン遺伝子とは、老化を予防するうえで重要な役割を果たすとされる遺伝子で、「長寿遺伝子」と呼ばれることもあります。サーチュイン遺伝子は、人間だけではなく、細菌から哺乳類まで多くの生物が備える遺伝子であり、人を対象とした臨床試験も含めた研究が進められています。
サーチュイン遺伝子の研究は、マサチューセッツ工科大学のレオナルド・ガレンテ教授と、ワシントン大学医学部の今井眞一郎教授によって進められました。サーチュイン遺伝子が持つ機能を強化すると、酵母の寿命が延びることを突き止めた研究は、科学誌『ネイチャー』に掲載された実績があります。
サーチュイン遺伝子の種類・特徴
長寿遺伝子の別名でも知られるサーチュイン遺伝子には、「SIRT1」から「SIRT7」までの7種類があります。それぞれの特徴は、以下のとおりです。
サーチュイン遺伝子の種類 | 局在する場所 | 機能 |
---|---|---|
SIRT1 | 核、細胞質 | がん抑制遺伝子をはじめとする、生命現象に関わるストレス応答、炎症、免疫応答などを制御する。また、抗酸化酵素の発現を増加させ、抗酸化作用を促進する。 |
SIRT2 | 細胞質 | 脂肪代謝を制御するほか、がん抑制遺伝子としても機能する。パーキンソン病の原因物質の蓄積を抑制し、神経毒性を軽減させ、ドパミン作動性ニューロンの細胞死を抑える |
SIRT3 | ミトコンドリア | カロリー制限により、肝臓や脂肪組織で発現を亢進する。活性酸素の濃度を下げ、聴覚を司る蝸牛の細胞死を抑えられ、老人性難聴を改善する。 |
SIRT4 | ミトコンドリア | インスリン分泌を制御し、脂肪酸酸化を調節する。 |
SIRT5 | ミトコンドリア | 尿素回路を制御する。 |
SIRT6 | 核 | ゲノムの安定化に関与し、欠乏すると早期老化様症状につながる可能性がある。炎症や免疫、細胞増殖、老化、脂質代謝などを制御する。 |
SIRT7 | 核小体 | リボソームRNAの転写を抑制し、たんぱく質の合成を制御するほか、全身のエネルギー消費も制御する。 |
特に注目すべきなのは、細胞内の代謝を促進するSIRT1です。詳しくは後述しますが、マウスを使った研究で、慢性的なうつ状態のマウスにSIRT1活性化剤を投与した結果、慢性ストレス負荷後のうつ行動が消失したことが分かりました。
SIRT1により期待できる作用はほかにもあり、血糖値を下げるインスリンの分泌促進や、神経細胞を守って記憶や行動の制御を促す可能性も指摘されています。このため、老化や寿命のコントロールに、サーチュイン遺伝子が深く関与すると考えられます。
サーチュイン遺伝子が老化抑制・長生きのカギを握る
サーチュイン遺伝子は、人間の老化抑制や長生きのカギを握る存在として、現在も研究が進められている遺伝子です。サーチュイン遺伝子は多くのメディアから注目されており、NHKで特番が組まれたこともあります。
また、2013年8月29日には、国立遺伝学研究所が『サーチュイン遺伝子は、本当に長寿遺伝子だった』との研究結果を、文部科学省記者クラブおよび科学記者会、三島記者クラブから配信しました。
この研究によると「サーチュイン遺伝子には『リボソームRNA遺伝子』の数を一定に保つ作用があり、それがゲノムの安定性へ通じ、寿命を延ばす結果につながる」と結論付けられています。
リボソームRNA遺伝子とは、たんぱく質を製造する構成部分のひとつである「リボソームRNA」を作る遺伝子です。人間や酵母のゲノムでは、リボソームRNA遺伝子のコピーが100個以上並んでいます。リボソームRNA遺伝子はコピー数が変動しやすい不安定な遺伝子ですが、サーチュイン遺伝子が安定性をもたらし、ゲノムの安定性、つまりDNAの一部が失われたりしない状態を作るのです。
また、サーチュイン遺伝子が老化抑制や長生きに関連する要因として、ミトコンドリアとの関わりも挙げられます。ミトコンドリアとは、私たちが生きるために必要なエネルギーを生み出す細胞小器官です。サーチュイン遺伝子はミトコンドリアの機能を高める可能性があり、老化防止に向けた相乗効果が期待できます。
なお、染色体の末端にある「テロメア」と呼ばれる構造が寿命に関わっており、サーチュイン遺伝子にテロメアがすり減るのを抑える動きがあるのではないかとも考えられています。
ただし、これは研究が進められている段階の話題であり、現時点で明確な研究結果が出ていません。
サーチュイン遺伝子の機能低下が関係して起こること
サーチュイン遺伝子の機能が低下して引き起こされるのは、一言でいうと老化です。以下のような加齢関連疾患を発症するリスクも、高まります。
- <主な加齢関連疾患>
- 糖尿病や動脈硬化といった生活習慣病
- アルツハイマー病
- 慢性腎臓病
人間は加齢とともに老化しますが、その一因となるのが細胞の老化です。細胞分裂は数十回で止まり、これは「分裂寿命」と呼ばれています。分裂しなくなった細胞は「老化細胞」として体内に蓄積され、これが先述した加齢関連疾患に関与する可能性があるのです。
裏を返せば、サーチュイン遺伝子の機能を維持できれば、老化細胞は蓄積されにくくなります。
サーチュイン遺伝子の機能が低下する原因
サーチュイン遺伝子の機能が低下する主な原因と考えられているのは、加齢です。加齢による老化に伴い、「NAD+」とサーチュイン遺伝子の機能が低下します。
NAD+とは、エネルギーを産生するための補酵素です。人間の体を動かすためにはエネルギーが必要で、ほとんどの細胞でATP(アデノシン三リン酸)がエネルギー役を果たしています。ATPを生成するためには、栄養素をエネルギーに変換する必要があり、その過程で不可欠なのがNAD+です。
NAD+は直接体内に摂取できないため、その前駆体となる「NMN」を摂取して、初めて体内でエネルギー源になります。このNMNは、体内でエネルギー産生を活発化させるとともに、サーチェイン遺伝子も活性化させます。しかし、NMNは加齢により減少し、細胞のエネルギーレベルが低下して老化につながるのです。
サーチュイン遺伝子の活性化に期待できる主な効果

老化抑制や長生きのカギを握るサーチュイン遺伝子は、加齢による影響を受け、やがて機能が低下してしまいます。それでは、サーチュイン遺伝子を活性化させると、どのような効果を期待できるのでしょうか。4つの効果をピックアップして、それぞれを詳しく解説します。
効果1.健康に長生きするためのサポート
先述したとおり、サーチュイン遺伝子の劣化を防ぐことにより、アルツハイマー病などの加齢関連疾患の発症を予防します。加齢関連疾患には、糖尿病などの生活習慣病も含まれるため、サーチュイン遺伝子を活性化させることにより、健康寿命を延ばすことにつながるでしょう。
また、DNA修復による「がん予防効果」にも効果が期待されています。国立がん研究センターは、がん遺伝子の活性化がDNA複製の進行を妨害し、ゲノム異常を誘発してがんを発生させるとの研究結果を発表しました。
サーチュイン遺伝子にはリボソームRNA遺伝子の数を一定に保ち、ゲノムの安定性を保つ作用が含まれています。このため、サーチュイン遺伝子を活性化させることによって、がん発生の原因となるゲノム異常を防ぎ、がんを予防できる可能性があると考えられるのです。
効果2.エイジングケア
サーチェインの一種である「SIRT1」には、細胞老化や炎症、皮膚老化といった問題を抑える作用が備わっており、エイジングケアによる美肌効果が期待できます。
一例としては、シワの改善です。SIRT1の活性化がPGC-1αの活性化を促し、皮膚内のミトコンドリアの生合成を誘導することにより、シワの改善につながる可能性が示唆されています。
また、サーチュイン遺伝子の活性化に伴い、ミトコンドリアの機能が高まることもエイジングケアに役立ちます。ミトコンドリアを活性化させることにより、活性酸素種を抑圧して酸化ストレスを減らせる可能性があり、酸化ストレスが原因で引き起こされる「シミ」「シワ」といったトラブルを回避しやすくなるのです。
そのほかにも、白髪や薄毛に対する効果についても、現在進行形で研究が進められるなど、さまざまな面でのアンチエイジング効果が期待されています。
効果3.ダイエット
肥満やそれに伴う「メタボリックシンドローム」は、生活習慣病を引き起こす要因でもあり、大きな社会問題です。サーチュイン遺伝子は、ダイエットを実現するための切り札としても期待されています。
群馬大学では、神経細胞へ特異的にサーチュイン遺伝子を増やした遺伝子改変マウスを作成し、加齢による体重変化への影響を確認する実験を行いました。この結果、普通食で飼育したマウスの食欲は抑制され、エネルギー消費量が増えたことにより、加齢に伴う体重増加を抑制できたといいます。
効果4.ストレス耐性の向上・うつ病の予防
ストレス耐性の向上やうつ病の予防にも、サーチュイン遺伝子が役立つと考えられています。
6週間にわたりストレスを与え、うつ状態となったマウスを研究した結果、脳海馬領域においてSIRT1活性の低下が認められたのです。また、SIRT1の機能を弱めたマウスは、軽度なストレス負荷においてもうつ状態に陥り、ストレスに対して脆弱性を抱える結果が見られました。
一方、SIRT1を過剰発現したマウスや、SIRT1活性化剤を投与したマウスは、慢性ストレス負荷後のうつ状態が消失したといいます。このため、サーチュイン遺伝子の活性化を促すことが、うつ症状の予防につながると考えられるのです。
サーチュイン遺伝子を活性化させる方法
サーチュイン遺伝子を活性化させるためのスイッチになり得るのは、これからご紹介する5つの方法です。特にサプリは、現在の生活リズムを崩さずに取り入れられる方法なので、カロリー制限や運動量のアップが難しい方におすすめできます。
5つの方法について、それぞれを詳しく見ていきましょう。
カロリー制限をする
サーチュイン遺伝子の特徴は、空腹の状態、つまりカロリー制限をすると活性化するとされることです。特にSIRT1とSIRT2は、カロリー制限により発現が増え、寿命が延びるとされています。健康的で栄養バランスを重視した食事をとることで、サーチュイン遺伝子の活性化につながるでしょう。
適度な運動を心がける
適度な運動を行うと、SIRT1とSIRT3の発現や活性化につながるとされています。運動ではカロリー消費も伴うため、先述したカロリー制限によるサーチュイン遺伝子活性化にもつながりやすく、相乗効果が期待できます。
レスベラトロール・クルクミン・ケルセチンを含む食べ物を意識的にとる
前提として、栄養バランスの良い食事をすることが大切です。そのうえで、レスベラトロール、クルクミン、ケルセチンを含む食べ物を意識的に摂取すると、サーチュイン遺伝子を活性化させやすくなります。
それぞれの成分が多く含まれる食べ物は、以下のとおりです。
成分 | レスベラトロール | クルクミン | ケルセチン |
---|---|---|---|
含有量が多い食べ物 | ぶどう、ブルーベリー、クランベリー、ワイン、ぶどうジュース、ピーナッツ | カレー、たくあん、ピクルス | たまねぎ、サニーレタス、ブロッコリー、モロヘイヤ、りんご |
サーチュイン遺伝子との関連性 | SIRT1、SIRT5を発現させ循環障害や神経変性、炎症性疾患、脂肪蓄積を予防する。また、SIRT3を抑制して抗がん効果を生み出すとされる。 | SIRT1を発現させて抗がん効果、抗酸化作用、抗炎症作用を生み出すとされる。 | NAD+を増加によりSIRT1を発現させ、抗がん効果、抗酸化作用、抗炎症作用を生み出すとされる。 |
サーチュイン遺伝子の活性化が期待できる点滴を打つ
以下の点滴を打つと、サーチュイン遺伝子の活性化が期待できるとされています。
- <サーチュイン遺伝子の活性化が期待できる点滴>
- NMN点滴
- NAD+点滴
- 5-ALA点滴
- 水素点滴
サプリを活用する
手ごろな方法としておすすめできるのが、サプリの活用です。日常生活にサプリを追加するだけで、サーチュイン遺伝子を活性化させるために役立つ成分を摂取できます。特に「5デアザフラビン Pure MAX」は、サーチュイン遺伝子との関係が深い「5-デアザフラビン(TND1128)」が多量に含まれるサプリです。
5-デアザフラビンは、すでに多くの人々から注目を集めている新しい成分です。5デアザフラビン Pure MAXには、国内最大級容量100mgの5-デアザフラビンが含まれることが話題となりました。クラウドファンディングでは、開始50分で目標金額となる100万円の売上を達成しています。
5デアザフラビンは、サーチュイン遺伝子とミトコンドリアに対して、直接作用することが特徴です。NMNをはじめとする従来のサプリメントは、体内でNAD+に変換しなければ、サーチェイン遺伝子に作用しません。5デアザフラビンを摂取することで、より効率的にサーチェイン遺伝子を活性化させられる可能性があります。
- 5デアザフラビンについて